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ドライエイジングビーフについて 日本ドライエイジングビーフ普及協会委員
齋藤章雄

ドライエイジングを食して思うことについてお話します。

今年3月、NYにドライエイジングビーフの視察に出向きました。その際、感じたことはドライエイジングの手法が店ごとに違い、肉質、香りについても店ごとに個性が感じられるものでした。

肉質は、全体を通して旨みが増し、かつ柔らかいのですが、香りについては店ごとに異なっている。
どこのレストランも大振りで、レアなタイプで出しているところが多い。
その二つが特徴でしたが、日本料理の料理人として思うことは、非常に量そのものが多く感じられるのですが、到底、食べられないであろう量が食べられて軽く感じられてしまう。それは、脂身(サシ)が少ないことにより旨みも少ないと思われがちなのですが、バランス良く熟成していると、柔らかく、かつ肉の旨みも引き出されているからだと思います。

これを日本の肉業界に取り入れて広めていくとすると、サシがあり、脂ののった和牛一辺倒でなくなる可能性があると思われます。
従来通りのサシがある牛肉、ナチュラルで赤身の牛肉に加え、ドライエイジングした熟成の牛肉(赤身)の味わい方が一つ増える。
日本でホルスタイン、和牛のA2、オージービーフなどをドライエイジングで試してみました。
ホルスタインはホルスタインなりの旨みが増しかつ、水っぽさがなくなり良い傾向にあると思います。
和牛のA2に関しては、サシが少ないことがドライエイジングに適していると思われました。
一般的に料理屋では扱いにくいランクではあるがドライエイジングすることにより違った売り方ができ、広まると考えられました。
オージービーフに関してはドライエイジングすることにより、さっぱりしていると思われがちだが、一層旨みが増し味わい深いものとなりました。
これによりドライエイジングそのものの効果はサシ・脂身の少ないものには非常に肉そのものの熟成ができ、合うと思います。

今後の課題として、1点目に香りのつけ方が挙げられます。強すぎると、「臭い」という印象を与え、弱いと熟成そのものが不足していると思われます。
2点目は表面のドライした箇所をどこまで削り落とすかによってコストが変わる点です。ドライになった部分が多ければ多いほど、コスト高になってしまいます。コストを管理するためには、歩留まりを一定に保つ必要があります。
3点目として、焼き方についてですが、一般的なスーパーなどで販売されているステーキのような厚さには適さないように思われます。3〜5センチの厚さがある方が、美味と判断しています。
例えば、数人でシェアできる300〜500グラム程度の大きさで、できればミディアムレア(限りなくレアに近い)の方がドライエイジングの味わいが堪能できるのではと思います。

一般的に、サシの強いA4、A5が好まれる傾向が高いのですが、ドライエイジングの技術力が高まれば、牛肉の赤身の旨さがより一層引き立ち、付加価値が得られる。加えて、食べやすくなることにより、食される量そのものも増えることが期待されると思います。

コンラッド東京日本料理統括料理長 
「コンラッド東京」28階『風花』総料理長。平成20年度東京都優秀技能者(東京マイスター)の称号を得る。1958年生れ、福岡県筑後市出身。
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